「海洋生物と温度」をキーワードとして
各種調査・実験・研究解析に取り組む公益法人。

中央研究所/所長代理・総務グループマネージャー
原 猛也さん
財団法人海洋生物環境研究所(海生研)は、原子力発電所をはじめとする発電所からの取放水が海域環境や水産資源に与える影響を科学的に調査する公益法人である。全国漁業協同組合連合会からの要請を受け、農林省(現・農林水産省)・環境庁(現・環境省)・通商産業省(現・経済産業省)の三省庁共管で1975年に設立。以来、「海洋生物と温度」を一つのキーワードとして、さまざまな手法により、発電所の取放水、特に温排水の影響解明に取り組んできた。
全国3事業所ある海生研施設のうち、千葉県外房沿岸の「中央研究所」では、飼育実験施設を利用した基盤的な調査研究や、フィールドにおける野外調査研究が行われている。また、国内外の研究成果を集積したデータライブラリーが併設され、外部への情報提供なども行っているという。
近年は、地球温暖化とそれに伴う海洋酸性化等の環境問題、エネルギー問題や食の安全・安心といった社会的な関心の高まりを背景に、海生研の調査研究活動もますますその重要性を増してきている。今回は、中央研究所の楽天モバイル導入事例について、所長代理・原猛也(はら・たけや)さんからお話をうかがった。
課題:携帯電話「圏外」の立地。所員は施設間の移動で連絡がつきにくく、災害時の通信途絶リスクも課題となる。

海生研中央研究所(千葉県御宿町)は、前面を海、後背を山に囲まれた立地にあり、約4万5千平米の敷地内に本館と実験施設3棟が点在している。通常の携帯電話では「圏外」エリアとなるため、事務局(東京都新宿区)や、実証試験場(新潟県柏崎市)等との連絡手段は、これまではもっぱら固定電話に限られていた。固定電話の端末は各研究室に置かれているが、所員たちは日常、複数の研究室や実験棟を行き来しながら仕事をしているため、離席や移動中などで電話に出られないことも多い。このため、構内放送で呼び出しを行うなどして対応していたが、緊急時やリアルタイムでの連絡がつきにくい状況にあった。こうした背景に加えて、導入から十数年が経過した固定電話設備の老朽化の声もあった。
「ただ、固定電話は一度設置すればコスト的に有利な面もあるため、新システム導入には若干の抵抗も感じていました」
しかし、そうした抵抗感を払拭してあまりある理由として、もうひとつ、ライフラインとして通信手段を確保する必要性を感じていたのだという。
「中央研究所は、海に面した立地と関東ローム層という土壌のため、大地震発生時にはがけ崩れなどの心配があります。幸い、これまでのところ大きな災害はありませんが、研究所施設への道路も途中でトンネルになっているため、万一崩落すれば交通が遮断され『陸の孤島』になってしまう危険性も考えられます」
2007年の新潟中越沖地震では、柏崎刈羽原子力発電所に隣接する海生研実証試験場も被災している。建物は無事だったが、内部の施設は甚大な被害を受け、復興までに2年余を要したという。
「被災時には固定電話がほとんど通じなくなり、全所員の安否を確認するのに1日~2日かかってしまいました。本来なら地震発生から数時間以内に安否の確認ができなければならない、とセーフティの面でも問題が大きいと考えていました」


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